サウンドチェック時からゆるいトークで和ませる、3番手の七尾旅人。しかし本番が始まれば、ガラッと空気が締まる。「ごめん。本当に真面目な曲だけやって帰るわ。誰も俺のことなんて覚えないと思うけど」と自虐を振りまいてもいたが、それは杞憂に終わることとなる。戦死してしまう日本の自衛官の歌「兵士Aくんの歌」。その憂愁をオーディエンスは静かに受け止め、続けて「少年兵ギラン」へ。先程の自衛官が戦う可能性のある、アフリカなどの途上国の子供兵の歌だ。蠢くビート、低い声のポエトリーリーディング、サンプラーやボイスパーカッションを駆使したおどろおどろしい音が、戦場の冷たさをリアリティーたっぷりに想像させる。でも、忌避せず想像したい。世界は決して良い状況ではないのだから。「蒼い魚」のメロディーには、すべてを包み込むような深い慈愛を感じた。“3.11”がきっかけで生まれた「Memory Lane」はマイクなし、ギターも完全生音で披露。こんなにまっすぐで凄まじい表現、なかなか観られません。
Text : 田山雄士 Photo : Taku Fujii