ハイトーン・ヴォイスの美しさと、いきなりの熱演で観客の気持ちを鷲掴みにした1曲目の「REMIND」を演奏した後、「濃かったよねぇ。ここまで濃くなるとは。誰がブッキングしたんだと思ったら、俺だった(笑)」と大木伸夫(Vo, G)は笑った。そして、「最強の1日になりました」とつけ加えたが、トリを飾ったACIDMANのパフォーマンスもまた、“最強の1日”にふさわしい見どころ満載のものとなった。ジャジーな「シンプルストーリー」、浦山一悟(Dr)がパーカッションを軽やかに鳴らしたボサノバ・タッチの「赤橙」では、アコースティク・セットならではのアレンジの妙を楽しませる一方で、大木と佐藤雅俊(B)がコードをかき鳴らした「swayed」ではアコースティックという概念を打ち破る激しさもアピールした。中盤ではストレイテナーのホリエアツシをゲストに迎えると、「リピート」をエモーショナルに歌い上げ、「本番5分前に(演奏することを)決めた」(大木)という「季節の灯」を大木が弾き語りで披露するというサプライズで客席を沸かせた。終盤は宇宙の神秘、与えられた生命の尊さ、自分が信じる夢をあきらめない決意を語りながら、「FREE STAR」「ALMA」という人気曲で盛り上げると、「みんなでひとつになりたいから、手拍子だけでもいいから、みんなの力を貸してください」と大木が呼びかけ、跳ねるリズムがポップな「Your Song」で眩い世界を作りあげた。そして、アンコールでは「誰でもいつかは死ぬと覚悟したら怖いものはない。最後に幸せだったと思えるように生きたい」(大木)という願いを込め、2月にリリースした新曲「愛を両手に」を披露。ダメ押しで盛り上げるのではなく、最後の最後にバラードを持ってきたところにロック・イベントだったBowline を、今回はアコースティック・イベントとして、“最強の1日”にできたというバンドの矜持が感じられた。
Text : 山口智男 Photo : Taku Fujii